抽象的でミニマルな作品をつくるピエール・トビーは、「時の流れと時間的あり方」に逆らうことなく 制作をすすめる。構図をつくったり整えたりすることはない。思いもよらない組み合わせと偶然を大切にしながら、そこに構成されてくる光の質感や色彩を、と らえ、ひきとめ、保存する。見るものの意識を集める空間と作品は、そうしてつくりだされ、わたしたちの知覚のしくみについて考えさせてくれる。
ピエール・トビーは、映画や音楽という他分野と対話しながら描く。コリオグラフィーや建築学も作品を豊かにしている。空間や光を浮かび上がらせるあるシチュエーションを提案することで、彼の作品は生活空間や展示空間に新しい視点をあたえている。「場所と身体、そして作品の大きさや、それをどこに置くかという諸現実をひきうけた、ある種の集積」と作家自身はのべている。特異な支持体であるガラス。その裏側に色をひと塗りし、あらわれた色合いをひきうける。制作過程は変化に富み未知に開かれている。その手法には、絵画らしさのやすきに流されない作家のかたい意思が反映されている。ピエール・トビーはそうして自身の鑑賞者ともなり、見るものの驚きを画家みずから経験する。
（Gregory Lang, « Pierre Toby Cellule architecture », IOA n°1, 2013. 抄訳：須藤佳子）

 

« to add to » 3階展示 :

Under Windows I, oil on glass, diptyque, 90 x 10 cm (x2)
Under Windows II, Pick, oil on glass, 90 x 10 cm 
Under Windows III, Bleu, oil on glass, 90 x 10 cm 
Under Windows IV, Yellow, oil on glass, 90 x 10 cm
Under Windows V, Green's, oil on glass, 90 x 10 cm
Any Wall, two glass, 7,5 x 90cm (x2) 
Diptyque, oil on glass, 40 x 4 cm (x2)

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