ロビン・ペレー
http://www.robinperrey.com/
パレ・デ・パリにおけるアーティスト・イン・レジデス期間
2014年 1月-3月
ロビン・ペレー展 ARE YOU TALKING TO ME ?
このレジデンスは、ブザンソン美術高等学院大学(ISBA)とパレ・デ・パリとの協働プロジェクトであり、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本の後援をうけています。
スクリーンに”影”を投影する――。
レジデンスをはじめたとき、ロビン・ペレーは人々が視線をあわせないことに気が付いた。その距離感が対話をこばむということにも。道ですれちがう人々が、 まるでたがいを避けてとおる”影”のようにみえた。ロビン・ペレーはパレ・デ・パリでの滞在制作をとおして、このような日本の印象にかたちをあたえようと している。それはまた、すれちがう人たちにたいする彼なりの働きかけでもある。
近所の人たちの影。偶然がひきあわせてくれた人たちの影。影を撮影して、それを投影することで、“影”という他者に光をあたえようとしているのだ。
映画『タクシードライバー』の主人公トラヴィス・ビックルは、タクシーを運転しNYの夜をさまよう。トラヴィスにとっての”影”は、車窓にあらわれては消 える街角の人々だ。対話することなくすぎていく影になんとか働きかけようとするトラヴィスは、鏡がはねかえす自分という他者に問いかける。You talkin' to me? (何か用かい?俺に向かって話しているんだろう?) 鏡のなかの他者は、いままさに対話をはじめようとしている。もちろんそれは自分自身の影にすぎないのだけれども。
あたりまえのことのように、パレ・デ・パリでの最初のプロジェクトはプラトンが語った洞窟の比喩をおもいおこさせる。道をいきかう人々の影が洞窟の壁面に うつっている。奴隷でない自由な人はそれらの影が幻にすぎないということを知っていて、洞窟から外にでようとするだろう。トラヴィスが自身のタクシーから 降りようとしたように、ロビンもまた自身の宮殿(=パレ)から外にでようとしている。
ロビンの試みが違うところは、幻を反射するスクリーンの性質だ。壁や鏡は幻を面上でさえぎり、うけとめた像をこちらにはねかえす。それにたいしてロビンの インスタレーションでは、(幻)影はいくつもに増幅しながらスクリーンをとおりぬける。障壁をとおりぬけた“影”はやがて洞窟の外へとむかうだろう。他者 との対話は、可能かもしれない。
スクリーンのむこう側で――。
フレデリック・ヴェジェル(訳:須藤佳子)
http://vimeo.com/94182820#at=0
ロビン・ペレー展 :
3月2日(日) ライブ
ロビン・ペレー
2月23日(日) パフォーマンス
デルフィン・デプレ
http://www.delphinedepres.net/
上毛新聞